趣味のガーデニングで、みんなの心に笑顔を咲かせる
「永井屋石油店」
永井幸子さん
たつまち商店街を縦断する白布街道を通ると、つい目を引かれてしまうガソリンスタンドがある。白壁に映える色とりどりの草花、とぼけた表情が愛くるしいカエルの置き物…。
ガソリンスタンドといえばたいていは殺風景なものだが、ここ「永井屋石油店」は四季折々カラフルな花やかわいいオブジェが、給油や車のメンテナンスに来店した人々を出迎え、心を和ませてくれている。
何気なく応募した鉢植え作品が、コンテストで入賞!
店頭に花を飾っているのは永井幸子さん。元々花が好きで、子育てが一段落した頃から仕事の合間に時間を見つけてはガーデニングを楽しんできた。誰に習ったわけでもない、特別にお金をかけるわけでもない。手軽に手に入る草花の苗や、前の年に種がこぼれて芽が出たものを、自分なりにアレンジして寄せ植えをしているという。
平成12年、チョウセンアサガオをメインにした寄せ植え鉢がよくできたことから、米沢市主催の「花いっぱい運動」に応募した。入賞を狙って応募したわけではなかったというが、みごと優秀賞を受賞した。
「お水をあげて、時々肥料をあげて。きちんと面倒を見てあげさえすれば、花はキレイに咲いてくれるんですよ」。子育てにも似た花への愛情が、幸子さんのガーデニングセンスを自然と磨き上げ、受賞につながったのだろう。
心が優しくなる、つい立ち寄りたくなるスタンド
幸子さんが手塩にかけて育てた花は、車の方向転換や入れ替えなどの邪魔にならないよう壁ぎわや柱に飾られ、ガソリンを入れに来たお客さんはもちろん、通りすがりの人々の目を楽しませている。散歩中に店の前を通りかかった人が、立ち止まって花を見ていくこともあるという。
「町を歩いていて、突然『お花を飾っているガソリンスタンドの人よね?』と声をかけられたこともあります。みなさん、意外と気にとめてくださっているんだなと思いましたね」。
冬場はすべての鉢を裏の庭に移動して越冬させ、春、開花と同時に店頭に飾り始める。飾るのがいつもより遅れた年は、「今年はどうしたの?花は飾らないの?」と聞かれたこともあったそう。それだけ、近隣の人も楽しみにしているということだ。
幸子さんは、花だけでなく花器やオブジェにも趣向を凝らしている。フラワースタンドの上には、“お願いポーズ”をした愛嬌のあるカエルの置き物が鎮座し、ちょっとした人気モノだ。「同じ飾るなら、見た人がクスッと笑ってしまうような面白い物がいいなと思って」。
見る人を楽しませたい…。そんな幸子さんの遊び心が店内随所に見られる。そしてその幸子さんのサービス精神は店全体に広がり、スタッフの親切な応対や居心地の良い店の雰囲気となって表れている。
趣味で始めたはずのガーデニングが、いつの間にか周囲の人々をも楽しませ、見る人を幸せな気持ちにする。「店に来てくださった方が、花やカエルの置き物を見て少しでも心を和ませてくれたらいいなと思います」と話す幸子さん。彼女の名前の通り、同店には心が温かくなる“幸せ”があふれている。
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